【EVENT REPORT】「IWAKAN と考えるジェンダーと創造」

【EVENT REPORT】「IWAKAN と考えるジェンダーと創造」

今回は、MOREDOOR編集部初のイベントレポートをご紹介!

1⽉22⽇(日)に東京都現代美術館にて開催されたIWAKAN Magazineと東京現代美術館の共同イベント「IWAKAN と考えるジェンダーと創造」に参加してきました。

とても楽しいイベントでしたので、その様⼦を⼀部ご紹介します!

IWAKAN Magazineとは?

ジェンダーやセクシュアリティ、男⼥に⾔論への違和感などのテーマを扱うインディペントマガジンです。
「あたりまえ」を問いかけるような内容が印象的で、2020 年に創刊されてから社会に違和感を持つ⼈々に寄り添ってきました。


(デザイン性の⾼さでも知られる IWAKAN Magazine。全てのページがアートのよう)

来場者全員での“対話”が行われたラウンドテーブル


IWAKAN編集部 のほか over and over magazine や B.G.U. zine など、マガジンを作成する編集者たちが集まり、50名以上の来場者とのトークセッションが行われました。
ここでは、参加者の発⾔で印象的だった部分を抜粋してご紹介します。

IWAKAN編集部
IWAKAN編集部
はじめは『クィアのための雑誌』を作ろうかと思ってたけど…企画を考えている段階でやめました。

⾃分で⾃分をラベリングをするのは避けた⽅がいいなっ
て。枠で⾃分たちを囲うのは良くないと思うんです。

参加者A
参加者A
枠って確かに邪魔になる時もあるけれど、広く世間に知られるためには『私たちはこういうものです!』っていうラベルが必要な時もある。

そこは少し悩みどころというか。越えていかなければな
らないものだと思っています!

参加者B
参加者B
たまに「あなた、ジェンダーの⼈だよね」と⾔われることがあるんです。
そのたびに「あなたもジェンダーの⼈だよね!?」って思います。
ジェンダーって誰もが関係のあることだから。
参加者C
参加者C
フェミニズムって「⼥性問題」と呼ばれることがありますよね。そこに違和感があります。

問題なのは⼥性じゃなくて社会なのにって思います。⾔葉って、気をつけて使わないと暴⼒になり得ますね。

ラウンドテーブルでは来場者からコメントや質問が寄せられるシーンも。
IWAKANが提供するオープンな空間だからこそ、安心と共感を得れる素敵な時間に感じました。

イベントを通してIWAKANが伝えたかったこととは?

イベント終了後、IWAKAN編集部の4人にインタビューをさせて頂きました!

MOREDOOR
MOREDOOR
今回のイベントの⽬的を改めて教えてください!
イベントは、ウェンデリンさんの「柔らかな舞台」との共同企画だったんですけど…

ウェンデリンさんの作品って、普段聞こえない声を聞かせる⽴場の⼈たちにスポットライトを当てていると思うんです。

Jeremy
Jeremy
スポットライトが当たらない⼈にも当てることで、みんなで対話することの⼤切さを伝えるというか。

そういったウェンデリンさんのポリシーに共感してイベントを開催しました。

イベントで⾊々な声が聞けたらいいなぁって!

Jeremy
Jeremy
ただ IWAKAN だけのイベントにしてしまうと、どうしてもそこで「ストップ」してしまうんですよね。
Andromeda
Andromeda
そこを超えていかないと、ジェンダーの問題って解決していかない。
コミュニティの枠を超えて、声を響かせることが⼤切だと思っています。
Andromeda
Andromeda

「対話」の価値とは?

MOREDOOR
MOREDOOR
定期的に対⾯でのイベントを開催されていますよね。リアルでの対話を⼤切にしている理由はありますか?
たしかに IWAKAN はイベントが多くて。⽉に1回の頻度で行っています。

対⾯で話すと、⼈同⼠の壁ってなくなりやすいんですよ。だから話し合う機会を⼤切にしたいと思っています。

Jeremy
Jeremy
リアルでの対話って安⼼感があると思うんです。⾃分の発⾔がどこにも残らないから。

SNS は⾃分の発⾔が残ってしまうので安⼼感がないんですよね…もちろん SNS も悪いものではないですよ。

SNS には SNS の役割があると思っています!

Andromeda
Andromeda

アップデートの速さについて

MOREDOOR
MOREDOOR
ジェンダーやセクシュアリティに関する知識や常識って、どんどんアップデートされていきますよね。

だからこそ、そういったトピックについて話すとき「⾃分は間違ったことを⾔っていない
だろうか」
という不安があるのですが…

対話する場所がセーフスペースであればあるほど、しっかりと教えてくれる⼈がいるから⼤丈夫。

私もそのような⼈でありたいし、それが出来るのが理想的な対話だと思います。

Lana Kageyama
Lana Kageyama
私⾃⾝、周りに⾊々と教えてもらうことがあります。

そうやって⾃分の知識や価値観をアップデートしていってますね!

Lana Kageyama
Lana Kageyama

『グレー』について

MOREDOOR
MOREDOOR
トークセッションのなかで「⾃分たちも正解がわからないけど、グレーのまま発信することを⼤切にしている」とおっしゃっていましたね。

「正解がわからないまま発信する」ということにつて、詳しくお聞きしたいです。

そうですね…物事って、ひとつの解決⽅法で解決できるほど簡単じゃないと思うんです。

SNSでは即座に正否を表明できる人もいるけれど、必ずしも短いセンテンスでは表現できない人や、曖昧さを許容して考えたい人もいる。

そのうえで、⼈々が話し合いをすることを⼤切にしていけたらと思います。

Yuri Abo
Yuri Abo
MOREDOOR
MOREDOOR
そういえば IWAKAN という名前⾃体がグレーな存在ですよね。

「まだハッキリと答えは出てないけど、なにかが変だぞ」みたいな。

そうですね、それに近いものはあるかも。

みんな、⾃分と社会のあいだに少しずつ違和感があると思うんです。そこに何か答えがあるわけではないけど…みたいな。

そういったものを発信していきたいですね。

Andromeda
Andromeda

私が私を取り戻すために

MOREDOOR
MOREDOOR
はじめは「クィアのための雑誌」を作ろうとしていけど、途中でやめたんですよね?
クィア向けの雑誌ではなくて、クィア⽬線の雑誌を作りたいと思ったんです。
Jeremy
Jeremy
クィア的視点だよね。世の中に違和感を持つ⼈みんなが持っている視点。
Yuri Abo
Yuri Abo
なにか違和感を持っている⼈や、社会に対して問いかける⼈のための雑誌だと思います。
たまたまジェンダーが軸になっているだけで。
Andromeda
Andromeda
うんそうだね。ジェンダーやセクシュアリティは通底しているけど、最初にくる視点は「違和感」

みんなが⾃分にしかない物語を持っていて、それを取り戻せたらいいなと!

私も「私を取り戻そう」と思ってこの雑誌に参加しています

Yuri Abo
Yuri Abo
雑誌を作っていて嬉しいことは、世の中に違和感を抱いている⼈たちが集まるきっかけになれたことかな。

ただ、それって決して無理強いすることでもないと思うんです。

Yuri Abo
Yuri Abo
読みたい⼈から読んでくれればいいし、集まりたい⼈から集まってくれればいい。

そんなスタンスで、これからもやっていこうかなと思っています。

Yuri Abo
Yuri Abo


雑誌を作成するだけではなく、コミュニティを育て、対話がうまれるきっかけを作っているIWAKAN の皆さん。
今回のイベントでもたくさんの対話がうまれていました。

「コミュニティがあるなんて知らなかった」
「自分の“違和感”を誰かと共有したい」

少しでもこのように感じた方は、最新号『IWAKAN Volume 05 特集 (不)⾃然』をぜひ⼿にとってみてください。

(Writing:POKKA)