「月経周期や生理に関する知識を深めて…」【生理×スポーツ】元オリンピック選手が”女性アスリート”に寄り添う『1252プロジェクト』とは?

「月経周期や生理に関する知識を深めて…」【生理×スポーツ】元オリンピック選手が”女性アスリート”に寄り添う『1252プロジェクト』とは?

多くの女性アスリートにとって避けることのできない生理の問題。
月経の影響は一人ひとり違うからこそ「個人で解決する問題」として放置されてきたのが現状です。

女性アスリートの中には、
「試合と生理が重なったらどうしよう……」
「周期の乱れが心配」といった悩みを人知れず抱える人もいます。

こうした問題に取り組むため、「生理×スポーツ」をテーマにした1252プロジェクトが発足しました。

今回、MOREDOORではこのプロジェクトの背景を、10代の頃にオリンピックで活躍し、現在では一般社団法人スポーツ止めるな代表理事を務める伊藤華英さんにインタビュー。

プロジェクトの内容と併せてご紹介します!

10代の頃の伊藤華英さんは……

伊藤華英さんは10代の頃、オリンピックで競泳日本代表として競技に励んでいました。

当時、彼女は生理を「毎月来る当たり前の存在」と捉えていただけで、生理が競技成績やメンタルに与える影響、月経前不快気分障害(PMDD)、避妊薬(ピル)の使用、海外の選手が生理をどのように管理しているかなどについての知識がありませんでした。

この知識不足が原因となり、オリンピックの舞台で後悔する経験をしたそうです。

「当時は生理に関する学びや相談の場が不足していた」ことから、女子学生アスリートや指導者、さらには男性アスリートにも生理に関する正しい知識を提供したいという思うように。

この強い思いを胸に、様々な専門家や指導者、教育現場、そしてアスリートが信頼関係を築きながら情報を共有できる場として1252プロジェクトの先頭に立って推進しています。

1252プロジェクトとは?


※画像出典:1252プロジェクト公式サイト

「生理×スポーツ」の課題に直面する女性アスリートを支援するための教育・情報発信プロジェクトです。

月経の周期や身体の変化は人ぞれぞれ異なります。
「個人で解決する問題」としてあまりフォーカスされていないからこそ、この取り組みでは、元オリンピック選手などのトップアスリートの実体験と医療・教育の専門知識を組み合わせ、主に女性アスリートが1年間約12週間経験する生理周期やそれに伴う体調変化に焦点を当て啓蒙しています。

どんな活動をしているの?

具体的な内容を見ていきましょう。

●1252 Club Room Workshop


※画像出典:1252プロジェクト公式Instagram

生理についての正しい知識を楽しく知ってもらうための出張授業。
性別に関わらず、学生や教員がオープンに生理について学ぶことで「話していい環境づくり」を目指しています。

●Talk Up 1252


※画像出典:1252プロジェクト公式Instagram
トップアスリートが楽しく生理の話をするYoutube番組。
一人ひとり異なる生理の体験談から、10代のうちに正しい知識を得て、対策していく重要性を発信しています。

●1252 Playbook


※画像出典:1252プロジェクト公式Instagram
インスタグラムで気軽に学べる「生理×スポーツ」の次世代型オンライン教材。
学生と相性のよいメディアを通じて、誰でも無料で正しい知識を楽しく学べる情報発信を行っています。

以上の3つの活動から楽しく生理についての知識を持ってもらう活動を広めています。

伊藤華英さんからのメッセージ

現在、1252プロジェクトのリーダーを務める伊藤華英さん。
「10代のいまスポーツをがんばる女性たち」
「スポーツを楽しむ子どもをもつ保護者の方」
「男性指導者の方」
に向けてコメントしてくれました。

10代のいまスポーツをがんばる女性たちへ


10代の頃は体力もあり、つい無理をしてしまいがちです。
でも、たとえば一生の骨量は10代のうちに決まり、それ以降は増えることがないなど10代の身体の状態は、実は“一生”にかかわること。
いまの自分を大切にすることは、一生付き合っていく自分の体を大切にすることにつながります。
そうした意識も持ちながら、月経周期や生理に関する知識を一緒に深めていきましょう。
知識を味方につけることで、コンディションを整えることができるようになり、もっとスポーツを楽しめるキッカケになると思います。

スポーツを楽しむ子どもをもつ保護者の方へ


長い間、生理のことは「他人に話すものではない」と育ってきた人も多いでしょう。
生理はただ血が出るだけでなく、メンタル不調を含め、さまざまな変化があります。

昔は女性の健康についての啓蒙活動はあまり行われておらず、話題に上ることも少なかったですよね。
でも、いま時代が変わりつつあります。

皆さんの不調や悩み、疑問はもう一人で抱えなくて大丈夫です。
誰もがアクセスしやすい形で正しい知識を提供するべく、1252プロジェクトではインスタグラムを利用して「無料で読める東大婦人科医監修の生理の教科書」を作成しました。
まずは、この知識を気軽に見てもらいたいです。


※画像出典:1252プロジェクト公式Instagram

そして、もっと深く知りたいと思う人のために、学びを深める検定も用意しています。

コーチや指導者に知ってもらいたいのはもちろん、子どもたちのためにも保護者に学んでいただきたいので、2種類の検定をつくりました。

なにか悩みがある方は、ダイレクトメールで悩み相談や問い合わせください。
ちょっとしたことでもサポートになりますように……。

●1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定(1・2級)とは
1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定は、7つの分野から「女子アスリート×生理」に関する正しい知識の習得を目指す検定です。

トップアスリートを指導するコーチから学校の教員、保護者、そしてアスリート本人に至るまで、女子スポーツに関わる全ての関係者が幅広く知識を身につけることを目的に、2階級の検定を設けています。
※詳細は1252エキスパート検定WEBサイトをご覧ください。

1252エキスパート検定公式WEBサイト

男性指導者の方へ


スポーツの世界では男性指導者が多く、男性の理解と協力が非常に重要です。

実際に、男性の方からも女性アスリートへ「体調どう?」などの声かけがなされています。そのような小さな気遣いだけでも、見守りの感覚を強めてくれます。

「わからないことがあっても当たり前で、恥ずかしいことではない。生理もまた、恥ずかしいことではない」という考え方を、多くの人に持っていただけたら嬉しいです。

どんな壁もいつか扉にできる

「生理×スポーツ」に対する正しい知識を広め、生理の悩みを相談しやすい土壌を作っている伊藤華英さん。
このインタビューを通じて、女性アスリートだけでなく、親や男性指導者といったサポートする側への思いも語ってくれました。

「正しい情報」や「相談先」を探している女性アスリートの方、その周りの方々にとって、今回ご紹介した1252プロジェクトがきっと大きな支えとなることでしょう。

▶︎1252プロジェクト公式WEBサイト


(MOREDOOR編集部)