「アセクシュアル」という言葉を聞いたことはありますか?
これは、恋愛感情をあまり感じない、性的欲求を抱かないという特性を持つ性的指向を指します。
しかし、多くの人々にとってまだ馴染みの薄い概念です。
現代社会において、性の多様性について理解を深めることは、周りの人の言動の背景を知る上でもきっと役立つでしょう。
そこで今回のMOREDOORでは、アセクシュアルの当事者の声をご紹介していきます。
※当事者の声はさまざまです。あくまで一例として、考えるキッカケになれば幸いです。
29歳Aさんの場合
私は異性に対して「好き」という感情が持てず、お付き合いしていたとしても常に違和感を感じています。
大切な存在ではあるけれど、「好き」かどうかと言われると答えられず結婚に踏み込むこともなく、今後の人生においても悩んでいます。
恋愛トークの時にも共感できず……
学生の頃から恋愛トークは聞くのも話すのも苦手でした。
もともと男性に対して苦手意識もあったので自分から好意を持つこともなく、友人の恋愛トークを聞いていてもピンとくることがなく、どちらかというと避けてきました。
アセクシュアルの社会的認知は?
低いと思います。もっと理解や認知度が増え、過ごしやすい世の中になってほしいと思っています。
男女の差や偏見をなくし、どんな価値観も受け入れられるような世の中になることが必要だと思います。
(29歳/パート)
31歳Bさんの場合
異性に対して良い人だとか素敵な行動をする人だと思う場面は何度もありましたが、恋愛感情が全く沸かずにいました。
異性から告白されたりアプローチされたりすることもあったのですが「何故あなたと恋愛しなければいけないのか」という気持ちが先行して悩みが尽きません。
恋愛トークが辛かった学生時代
学生時代から友人との恋愛トークは苦手でした。高学年になるにつれて恋愛トークありきの遊びがついて離れなかったため苦労しました。
興味ない素振りもできず、とにかく聞き役に徹しようと決めてそのようにしましたが、なんせ恋愛感情を持ったことがなく相手に共感ができず……。
それを友人たちも何となく察したのかあまり込み入った恋愛トークをしないようになりました。
友人と盛り上がる話題と言えば恋愛ということは分かっていたのですが感情がないため思考も何も浮かばずただただ辛かった記憶があります。
アセクシュアルの社会的認知は?
低いと思います。アセクシャルの当事者でない限り認知されないのかなと感じます。
例えば用語をもっと身近なものにしていくこと、いろいろな業界で取り入れてスモールステップでもいいので啓蒙活動を行う必要があると思っています。
背景としていろいろジェンダーに関する用語が多すぎて覚えづらい・興味が及ばない・当事者または身の回りに当事者がいる方でないとマイノリティなジェンダー観の認知は高まらないと考えております。
無理強いする(またはそう見えてしまう)ような姿勢はなくして柔軟さを大事に広めていくことも大事ではないでしょうか。
(31歳/会社員)
学んでこなかった性のマイノリティ
当事者自身も、またその周りの人も「恋愛感情を抱かない人がいる」ことを学校で学ぶ機会はこれまでなかったでしょう。
社会全体で、アセクシュアルを含む性の多様性に対する理解と認識を高めることは、コミュニケーションの前段階として必要ではないでしょうか。
一人ひとりが「自分がまだ知らないけれど、きっともっと多様な性の価値観が存在する」と認識すること。
私たちの理解と受容が、より寛容で多様な社会を形成する第一歩となるのかもしれません。
※この記事は実際に募集したエピソードを記事化しています。
(MOREDOOR編集部)