小さな子どもを連れて外出した際、安心して授乳できる空間があると、心強いですよね。
しかし、赤ちゃん100人に対して、授乳室はわずかに3%程度しかありません。
※出生数が約810,000人に対し授乳室は約30,032室(引用:Babypeko HPより)
しかも「従来の授乳ブースはカーテンタイプが多いからセキュリティ面が不安」「多目的“トイレ”で授乳なんて……」などと悩む人が多いのが現状です。
これらの課題を解決するために、ベビーカーのまま入室できる設置型授乳ブース『Babypeko(ベビペコ)』が、東京駅の地下1階に設置されました。
今回MOREDOORでは、販売元のGREATEST DAY株式会社の代表取締役CEO・中塩屋久美子さんに、インタビューを実施。
導入にいたるまでには、中塩屋さんご自身のママとしての経験と、授乳ブースをめぐるさまざまな葛藤がありました。
――Babypekoを新丸の内ビルディング地下1階に設置することになった背景を教えてください。
(以下、中塩屋久美子さん)
新丸の内ビルディングを運営する『三菱地所』は、ベンチャー企業との共創部署があり、自らコンタクトをとりました。
多くの商業施設では授乳スペースが配置されているも、あるのは上層階。
泣いている子をあやしながらエレベーターを探したり、ベビーカーを持ち運ぶのって本当に大変ですよね。
そのため、ママやパパが電車を降りてすぐにほっと一息つける場所として利用できるよう、三菱地所との連携で、丸ノ内線東京駅の改札からすぐの通路に授乳スペースを設置することにしました。
実際に利用した方からは「駅から出てすぐがありがたい」「しっかり授乳ではなくちょっとした休憩所としても使える点がいい」といった反響が寄せられています。
――『箱型タイプ』と『円柱型タイプ』を提供しているBabypeko。設置型授乳ブースがカタチになるまでに力を入れたことや大変だったことはありますか?
まず大切にしたのは、ベビーカーのままでの入室が可能という点です。
また私自身、育児をしながらカーテンの授乳室で「他の人に見られてしまう不安」を感じた経験から、鍵をかけられるという安全面に力を入れました。
さらに防犯システムとしてセコムを導入しました。
貧血になってしまったり、妊娠中のママさんなどが体調を崩されてしまった際に、ブース内のボタンひとつでセコムの担当者へ直接連絡することができます。
また、設置場所が多くの人が行き交うことから、授乳ブースに「天井がないのは不安」「背の高い人から覗かれてしまうのでは」と声がありました。
しかし、消防法という高いハードルにぶつかり……。
利用者からの不安な気持ちと消防法のどちらもクリアするために解決策を模索し、『目隠し板の増設』をすることにしました。
火災が起きた時のことを考慮するため、天井に格子状の板を取り付けていましたがそれを外し、スプリンクラーの水が室内に入り込むように工夫。
また従来のBabypekoの高さをさらに高くするため、約40㎝の目隠し板を取り付けました。
全体の高さが約2.5mとなり、天井との隙間を狭くすることで、外部から覗き見されない安全な授乳ブースを実現。
「もう、大変な思いをしなくていい」と世の中の親御さんたちに伝えていきたいと思っています。